必要証拠金とは?
必要証拠金とは、FXでポジションを保有するために必要な最低限の証拠金のことです。
FX取引では、あらかじめ「この金額以上の資金が口座にあること」が求められます。もし必要証拠金を下回ると、新規の注文ができなくなります。
維持証拠金(証拠金維持率)との違いは?
FXには、もう1つ重要な資金ラインとして「維持証拠金(証拠金維持率)」があります。
この2つは混同されやすいですが、役割がまったく異なります。
種類 | 内容 |
---|---|
必要証拠金 | ポジションを建てるときに必要な証拠金 |
維持証拠金(証拠金維持率) | ポジションを保有し続けるために必要な証拠金 (主にロスカットの判定に利用されます) |
なお、維持証拠金やロスカット判定に使われる「証拠金維持率」については、以下の記事で詳しく解説しています。
必要証拠金の計算式
必要証拠金の基本計算式は以下の通りです。(円建て口座・通貨ペアの後ろがUSDの場合)
必要証拠金=現在のレート×取引通貨数÷レバレッジ×ロット数×ドル円レート
※「ドル円レート」は、口座通貨が円で、計算対象の通貨ペアが米ドル建ての場合に適用します。
計算例(ドル円)
ここでは、USD/JPYを取引する際の必要証拠金を計算しています。
円建て口座で米ドルを10ロット購入するケースです。
157.461×100,000÷1,000倍×10=157,461円
このように、通貨ペアの後ろがJPY(日本円)で、口座通貨もJPYの場合は、ドル円レートの掛け算や割り算は不要です。
単純に「円建て」でそのまま計算されます。
計算例(ビットコイン)
以下の画像では、BTC/USDを取引する際の必要証拠金を計算しています。
円建て口座で暗号資産(BTC)を10ロット購入するケースです。

67,167.3×1÷400倍×10×157.461=264,406円
画像のとおり、暗号資産やクロス通貨ペアでは「ドル円レート」も掛け合わせることで、円換算の必要証拠金が求められます。
必要証拠金を求める式(パターン別)
必要証拠金は、「口座の通貨」と「通貨ペアの構成」によって計算式が少し異なります。以下に代表的な4パターンを紹介します。
① 口座通貨:JPY|通貨ペアの後ろの通貨:USD(例:BTC/USD)
必要証拠金=現在のレート×取引単位÷レバレッジ×ロット数×(ドル円レート)
日本円建て口座で決済通貨が米ドルの場合、最終的に日本円換算が必要なので、ドル円レートを掛けます。
② 口座通貨:USD|通貨ペアの後ろの通貨:USD(例:EUR/USD)
必要証拠金=現在のレート×取引単位÷レバレッジ×ロット数
もっともシンプルなケースで、口座もペアの決済通貨も同じUSDのため、換算不要です。
③ 口座通貨:JPY|通貨ペアの後ろの通貨:JPY(例:USD/JPY)
必要証拠金=現在のレート×取引単位÷レバレッジ×ロット数
多くの日本人トレーダーが利用する基本形で、口座も通貨ペアも日本円ベースのため、換算不要です。
④ 口座通貨:USD|通貨ペアの後ろの通貨:JPY(例:USD/JPY)
必要証拠金=現在のレート×取引単位÷レバレッジ×ロット数÷(ドル円レート)
米ドル建て口座で円ベースの通貨ペアを取引する場合で、証拠金をドルで計算するため、ドル円レートで割る必要があります。
よくある質問(Q&A)
MT5で現在のレートは、どこを見たらわかりますか?
現在のレートとは、「エントリー時の価格」ではなく、現在の市場価格を指します。
ポジションを保有中であれば、取引画面に表示される価格のうち、変動しているほうが現在のレートです。
下記の例では、「67,169.79」が現在のレートで、赤枠で囲った「67,167.30」がエントリー価格です。

MT5で取引単位はどこで確認できますか?


まとめ|必要証拠金の理解はFXの基本
必要証拠金は、FX取引を始める上で最も基本となる資金の考え方です。
「この金額がないとポジションが持てない」という「出発点」であり、資金管理の土台になります。
一方、維持証拠金や証拠金維持率は「ロスカットに直結する指標」です。この2つを混同せず、それぞれの役割をしっかり理解しておくことで、余裕を持ったトレード判断ができるようになります。
特に海外FXでは、レバレッジの自由度が高いため、必要証拠金を把握しておくことが「少額からの効率的な取引」につながります。